iD(アイディ)概要




iD(アイディ)は、携帯の巨人であるNTTドコモが自社ブランドとして、発行している電子マネーです。ドコモは、クレジットカードの老舗であり、VISAの盟主である三井住友カードを「イシュアー」、「アクワイアラー」として参加させるなど、その力の入れようは、三井住友カードへの巨額投資からも分かります。
また、ドコモでは、自社キャリアでiD(アイディ)をプリインストールし、さらなる利用者拡大を狙っています。
[ポストペイ型]




カードタイプ=無料












iD(アイディ)概要
「iD(アイディ)」は、日本最大の携帯電話会社であるドコモが少額決済に乗り出した携帯決済ブランドであり、ブランド自体をドコモが、カード会社である三井住友カードを「イシュアー」、「アクワイアラー」として、会員獲得や加盟店開拓を行っています。
また、ドコモはブランドと同時に「イシュアー」事業にも乗り出し、本格的なクレジット事業参入として「iD(アイディ)」に力を入れています。
iD(アイディ)の名称の由来は、存在証明である「iD entitiy」(アイデンティティ)と身分証明を意味する「iD」(アイディ)から付けられました。
iD(アイディ)のブランド化
ドコモは、iD(アイディ)をブランド化することで、クレジットカードの2大決済ブランドである、「VISA」や「マスターカード」などの位置を狙っていると考えられます。
しかも、イシュア事業にも同時に乗り出すことで、ブランド以外の手数料も、取り込もうとする姿から、そこには、携帯事業の収益鈍化を意識した、貪欲な新規事業への試みも見られます。
但し、決済ブランドである「VSA」や「マスターカード」は、自社でカード発行(イシュアー事業)はしておらず、非営利団体として、普及に努めている点でドコモとは異なる戦略と言えるでしょう。
また、イシュアがiD(アイディ)を発行する場合ですが、この際、発行しているカード会社には「iD(アイディ)」という名称が付け加えられます。
例えば、イオンが「iD(アイディ)」ブランドを発行するとイオンiD(アイディ)カードというようにです。以前から、三井住友カードでも自社カードに「三井住友VISAカード」という「VISA」という世界的な名称を盛り込ませた形で発行した例がありますが、こちらも同様なことと言えるでしょう。
こうしたことからも、「iD」をブランド化することに躍起になっているドコモの姿が見られるはずです。
さらに、ドコモでは、三井住友カードとの関係をより深める為、2005年、三井住友カードに対して約980億円もの投資をしており、これにより三井住友カード株式の34%を取得しました。そして、ドコモは、三井住友カードの事実上、大株主となり、三井住友カード株主総会で重要事項への拒否権を持つことが可能になったのです。これで他社に、三井住友カードが買収されるという心配もなくなり、同時に拒否権を行使する力を持ったことになります。
これを許した三井住友カード側の理由としては、クレジットカード業界再編の波に乗り遅れたという理由もありますが、何より一番はバックに、巨人ドコモが付いていたことが「iD」に参画した大きな理由と言えるかもしれません。
ドコモのイシュアー事業
そして、忘れてはならないのが、ドコモのイシュアー事業である、DCMXです。DCMXとは、DoCoMoXの略で、DoCoMoから「o」を取り払い、未知数、可能性を表す「X」を付けた名称となっています。すでに前述したように、国際ブランドである、「VISA」や「マスターカード」自体は自身ではイシュアー事業を展開していませんが、ドコモでは、自身でもイシュアー事業を展開するという点が大きな違いと言えます。
このDCMXには現状、2つのサービスが提供されており、中学生以上(12歳以上)の利用者を対象とした「「DCMX mini」」と、通常のクレジットカード同様、18歳以上を対象とした「DCMX」の2つがあります。「DCMX mini」は、通常のクレジットカードとは異なり、親であるクレジットカードが必要ない特殊なポストペイ型電子マネーと思って良いでしょう。こうした形態はドコモだからできることであって、通常のカード会社ならば、与信額が低すぎてビジネスにはなりません。
また、「DCMX mini」を利用する為には、FOMAのおサイフケータイが必要となり、カードは発行されません。また、年会費は無料で、決済方法は「iD」のみとなります。もちろん「iD」のみですから、国際ブランドである「VISA」や「マスターカード」加盟店での利用はできず、ショッピング機能のみの提供となります。さらに、キャッシング機能も利用すぐことはできません。利用限度額一万円ということから、小児用、子供用程度と考えて、高額な利用については、「VISA」や「マスターカード」などの国際ブランドが付いたDCMXカードがアップグレードとして用意されています。
しかし、DCMX miniは、携帯から申し込めるという手軽さや、審査基準の低さからか、今や「DCMXi」の利用者の約9割にもなり、つまり、DCMXの利用者のほとんどがDCMX miniの利用者となります。しかも、DCMX miniの利用者が増えればiD利用者が増えるということですから、ドコモとしては、iDの普及と利用者増加にはもってこいのサービスだと言えるかもしれません。
しかし、前述したように、DCMX miniは現状、iDが利用できる店舗でしか利用できません。電子マネーの互換性ない為、この点は、利用者にとって不利となるかもしれません。せっかく利用できたとしてもiDを利用する場所がなければ意味がないからです。また、支払いについては毎月の携帯通信料金に含まれ、自動引き落としとなります。
iD(アイディ)の決済方法
ここで、iD(アイディ)の仕組み、決済についてご紹介したいと思います。iD(アイディ)の決済では、一定額以下の決済はオンラインではなく、オフラインで完了する「スピード決済」を採用しています。この場合、暗証番号やサインをする必要はありません。
また、この一定額というのは、店ごとの設定となり、それぞれ金額が異なります。そして、店が決めた一定額以上の買い物になると、オンライン決済になり、センターと照合して、本人確認を行います。また、この場合サインは不要ですが、暗証番号の入力が必要となります。この点は、IC付きクレジットカードと変わりないでしょう。
このように、紛失、盗難の為に、おサイフケータイiアプリでパスワードが設定できたり、電話を通じて端末のロックができる遠隔ロック機能が搭載されています。さらに、iD(アイディ)アプリでは、クレジットカード情報が最高2枚まで保存できるようになっており、どちらのカードを優先させるかをユーザーが指定することができます。
iD(アイディ)まとめ
iD(アイディ)は現状、ドコモの「ブランド」ということで、さすがに他のキャリアである「au」や「ソフトバンク」は乗り気ではないようです。実際に対応アプリもドコモにしか用意されておらず、携帯を主体とした利用が、今後どこまで広がるかが疑問と言えます。対応するクレジットカードでカード型のiD発行も行っていますが、やはり利便性から言うと、携帯アプリの方が数段上と言えるでしょう。
他のキャリアでは、すでに、主要電子マネーアプリ(プリインストール)を「iD(アイディ)」以外の電子マネーで勧めていることもあり、iD(アイディ)が利用できる携帯は、現状i-modeのみという状況が今後も続くものと予想されます。
但し、利用できるエリアは、その巨大資本を使って、今後確実に広がることが予想されており、その広がりは、電子マネーの雄であるEdy(エディ)を超えるのも時間の問題かもしれません。今後のiD(アイディ)の展開としてはやはり、他社電子マネーとの相互利用や、イシュアーの開拓が鍵となるでしょう。
