(1)非接触型ICカード技術「FeLiCa(フェリカ)」

現在まで、電子マネーは、みなさんが知っている以上に深い歴史と、様々な試行錯誤、実験が繰り返され現在まで発展してきました。そもそも、電子マネーと呼ばれる、一般的な普及の試みについては、1995年にイギリス、スゥインドン市の実験で、約4万人が参加したと言われる「MONDEX」(モンデックス)が最初と言われています。
また、その後、1996年のアメリカでは、国際ブランドであるVISA・インターナショナルが「VISA cash」(ビザキャッシュ)という電子マネーを実験を行い、チャージ(入金)などの実証実験を行うなど、いずれも電子マネーの実用化に向け、海外では様々な実験が繰り返されていました。
日本においても1998年〜1999年にかけて、VISA・インターナショナルが行った「VISA cash」(ビザキャッシュ)の実験が東京渋谷で行われ、それ以後も、実用化に向け様々な実証実験が繰り返されてきました。しかし、電子マネーという言葉が一般的に知られ、身近になったのはつい最近のことです。その立役者と言えるのがソニーのFeLiCa(フェリカ)技術と言えるでしょう。
まず、「FeLiCa(フェリカ)」についてご説明すると、「FeLiCa(フェリカ)」はソニーが開発した非接触IC決済サービス技術で、その意味は「Felicity」(至福)と「Card」を組み合わせた造語となっています。また、FeLiCa(フェリカ)は、日常生活をより楽しく便利にする為の技術として位置づけられています。

実は、このFeLiCa(フェリカ)技術を使った初のサービスは日本ではありませんでした。FeLiCa(フェリカ)技術をまず最初に利用したのは、東アジアである「香港」や「シンガポール」だったのです。
香港では1997年「Octopus」(オクトパス)カードとして、香港の地下鉄、コンビニ、駐車場、自動販売機などで利用され、2002年シンガポールでは、すべての公共交通機関に「ez-link」(イージーリンク)カードとして利用されています。
また、インドでは2002年12月に地下鉄などで導入され、タイのバンコクでは2004年7月に地下鉄にと、アジア地域では、次々とFeLiCa(フェリカ)を利用したサービスを開始しています。特に、前述した香港の「Octopus」(オクトパス)カードではすでに、発行枚数1,300万枚を超え、シンガポールの場合は「ez-link」(イージーリンク)カードは約800万枚と、発行枚数だけ見ても、シンガポール人口は約400万人ですから、「ez-link」(イージーリンク)カードは国民一人につき2枚は持っている計算となります。
このように、すでに海外で成功を収めた技術であるFeLiCa(フェリカ)技術が、日本へ満を持して登場したというわけです。ここで、「FeLiCa(フェリカ)」についてさらに深く掘り下げてみましょう。まず、FeLiCa(フェリカ)の下には、様々な開発元や、下請けが存在しています。その中でもFeliCa(FeLiCa(フェリカ))を開発したソニーと、FeliCa(FeLiCa(フェリカ))に関する普及やライセンス事業を行っている「FeLiCa(フェリカ)ネットワークス」の動向は見逃せません。
FeLiCa(フェリカ)ネットワークスは、ソニー、NTTドコモ、JR東日本が出資した会社で、同社では、ライセンス事業の他に、携帯電話に搭載されているFeLiCa(フェリカ)チップの共通領域管理、チップ上のアプリの登録・削除などの業務を行っています。つまり、FeLiCa(フェリカ)技術を利用する場合は、同社にライセンス料を支払う必要があるのです。
また、ICカードを製造、発行、それに伴う、プロダクツやシステムを提供しているのが「大日本印刷」や「凸出版」、「共同印刷」などの大手印刷会社です。それら印刷会社以外でしかFeLiCa(フェリカ)の製造を行うことができません。
その他には、決済端末の製造メーカーとして、タクシーなどに搭載されている無線型の決済端末開発の、「サクサ」や、スリムな多機能決済端末の開発をしている「日立製作所」、おサイフケータイ対応のATM試作などで実績がある「富士通」などがあります。
そして、すでに携帯キャリアでは、「ドコモ」、「au」、「ソフトバンク」など、いわゆる日本携帯御三家が自社携帯にFeLiCa(フェリカ)技術を標準搭載しています。
このように、電子マネーは、ようやくここに来て日本でも花を開こうとしています。今後は、日本の約60兆円と言われる少額決済市場を、どの電子マネーが制するのかに目が離せなくなりそうです。様々な規格が乱立する、日本の電子マネー市場において、どの電子マネーがデファクトスタンダードになるかによって、私達の生活は大きく変わることが予想されるでしょう。

・ (1)非接触型ICカード技術「FeLiCa(フェリカ)」
・ (2)非接触型ICカードについて
・ (3)電子マネーの各種分類
・ (4)非接触型ICカードのメリット、デメリット
・ (5)非接触型ICカードの選び方